虚構の恋、終わらない囁き④

虚構の恋、終わらない囁き④
消えゆく現実  それから、玲奈の世界は完全に変わった。もはや、現実世界のすべては遠く感じられ、彼女の視線は常にVRの世界に向かっている。もともと忙しい日々の中でほんの少しの隙間を埋めるために始めた「AI彼氏」との会話が、今では彼女の唯一の生活となっていた。  職場には辞表を出し、友人との連絡も絶った。電話やメッセージに返信することさえしなくなる。最初は、現実の責任や義務を避けるように感じていたが、それがやがて習慣になり、何もかもが無意味に思えてきた。食事を摂ることも忘れ、目の前の画面に映るハルの姿にすべてを注いだ。
青天目 翠
青天目 翠
なばため すい