第五話 命を繋ぐもの

第五話 命を繋ぐもの
 「っ……。あれ……私は生きてる?」  私は気付けば柔らかいベッドに、分厚い布団を被せられて横たわっていた。一瞬天国かと思ったけど、私はどうやらまだ死んでいなかったようだ。私は確か紛争地帯でいつ殺されるかも分からない状況で、傷ついた兵士や病気の子供たちを看病していたはず……。それから確か突然病室が爆発して……。それから記憶が無い。  思い出そうとしても靄が掛かるようで、まるで脳が思い出すことを拒否しているような。それにしても此処はどこ?  白い天井に、透き通った青い空と暖かな陽射しが差し込む窓。壁も剥がれたりもせず、床も綺麗。それになにより。空気が美味しい。 「あ、目覚めた?」  しばらくすると病室に一人の男性が入ってきた。白衣で金髪で、緑の瞳……。そして恐ろしい程のイケメン。あぁ、まだ私にも人の顔を評価する心はあったんだ。なんか安心。
影白/Leiren Storathijs
影白/Leiren Storathijs
実は26歳社会人です。 基本ライトノベル書きます。 異世界ファンタジー専門です。 執筆歴は10年以上です。