寿楽荘、曰く憑きにつき〈8〉
————これは・・・・・・また夢、なのだろうか?
それとも此処は————死後の世界か?
まるで水の中に浸かって揺らめいているみたいだ。
何処か懐かしさを思わせる安心感に全身を包まれている感覚。
そう、例えばまだ言葉も上手く話せなかった幼い頃の事を思い出す。薄ぼんやりとした記憶を覗くと、あの頃はいつも傍らに母が居た。
慈愛に満ちた優しい笑顔と柔らかな声は、自然と安心感を与えてくれていた。
優しさに満ちた微笑みを湛え、その手で幼子の柔肌に触れたかと思えば、掬い上げられた身体は両の腕に抱かれて、すっぽりと大きな愛で包まれる。
幼いが故に言葉に表す事は出来ずとも、心の奥に感じる確かな温かさがそこにはあった。
柳田自身もそれを記憶として認識している訳ではない。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2022/5/15 13:03
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
華月雪兎-Yuto Hanatsuki-
皆様初めまして。華月雪兎です🐇
「雪」に「兎」と書いて「ゆと」と申します💡
現在は掌編、SS、短編から中編サイズの小説を書かせて頂いております。
恋愛系短編集
『恋愛模様』
ミステリ/ホラー系短編集
『怪奇蒐集録』
をエブリスタ、Noveleeにて不定期連載中📖🖊