卒業
人が成長するのは、誕生日ではなく春だと思う。
春。季節が巡り木々は冬で蓄えた力を放つように、緑の葉をつけた。
春一番が吹きいよいよ春が始まった。季節がまた、巡り始めようとしている。
そして多くの人が春と言ったら桜を連想するだろう。街にはピンクの花弁が舞い、まるで何かを祝福する紙吹雪のようだった。
その桜が、今日、私たちの胸元に咲いている。
正確に言うと桜のコサージュが私たちの胸元に付いているのだ。
3年間毎日着た制服は入学した頃よりも鮮やかさを失っていた。しかし、今日のみんなの制服は何故か、とても輝いて見えた。それは入学してからの3年間の思い出がそうさせているのだろう。
入学式の日に憧れの制服を纏った自分を見て、恥ずかしくも誇らしさを覚えたあの日から今日で3年。思い返すと、私たちの当たり前の日々はどこを切り取っても美しく、かけがえのないものだった。国語の先生の癖のある喋り方も、無駄にでかい女子の笑い声も、放課を知らせるひび割れたチャイムの音も、朝一番の教室でみんなを待つ時の気持ちも、今日で終わりだ。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/3/8 15:36
消化
言葉が好きで、言葉を紡ぐ人が好きで。そんな人になれるよう、毎日1作書いてます