薄っぺらい好きだけど

薄っぺらい好きだけど
カサカサカサ ペタッ スー ペラペラ 「紙は薄っぺらくて、すぐ破れてしまうし、とても弱い。こんなぺらぺらの存在は無意味だ。そうだろ?」 作り途中の折り紙を、袖の中にそっと隠した。 薄っぺらいって、何を基準に決めているんだろう。紙の中でもその紙は特段薄く作られているんだろうか?それとも、石版とでも比べているのか。紙なんて、元々他の物と比べれば薄いのが当たり前で、それだから紙なんだ。その薄さや、扱いやすさが素晴らしくて、簡単に壊れてしまうけれど、だからこそ生かせるところも多いじゃないか。そんな紙が、僕は─ 「うん、そうだね」 好きなん、だけどな。 「やっぱりお前もそう思うだろ?あんなものに心酔する奴の気が知れないよ。本当に、薄っぺらい連中だ。あんなもの、全くもって無意味だと思うね」 くしゃっ。袖の中で、嫌な音がした。 「本当、そうだよね」 精一杯の作り笑い。折り紙より脆い仮面で取り繕った僕の笑顔は、吹けば飛ぶ程に危うくて、それでも、僕はその仮面を必死に抑えるしかない。だって、そうしなきゃ、嫌われるんだから。
じゃらねっこ
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。