画竜点睛を欠く

画竜点睛を欠く
 九月一日。夏休み明け初日の授業だ  ほとんどの人が絶望し学校へ行くことをためらう日だろうが、僕は違う  なぜなら、僕は優等生だからだ  宿題なんぞ日記以外は七月中に終わらせ、八月も適度に遊び、適度に勉強をしていた  登校に向けての準備も二日前から完璧に行った。……宿題のやり残し、しかも数学の丸つけを全て忘れていたのはさすがに背筋が凍ったが  しかし即座に片づけたので問題はない  さて、完璧な僕のことをこれ以上考えていても仕方ない。他の生徒の様子を見てやるとしよう  ふ、みんな尊敬の眼差しで僕を見つめて。学校へ行くために入念な準備をすることは当然のことだぞ?まさか、忘れた宿題でも見せてほしいのか 「な、なあ、お前……」
菱田龍彦