喧嘩と思われた出来事

喧嘩と思われた出来事
 ある中学校に通う少女は近所でも知っている人が多い、良く言えば活発な子であった  誰よりも大きな声で挨拶をし、元気に外で遊んでいるのは良いところ  悪いのは、男子だろうが歳上だろうが構わず喧嘩をするような子だったのだ  しかし喧嘩をすると言っても、少女は喧嘩がかなり弱く、必ず負けてしまっていた  皆負けるのであれば喧嘩なんてよしなさいと少女を諭そうと試みたのだが、少女は意地を張ってか 「喧嘩じゃない」「私からは何もしてない」  と中々周りの言うことを聞かなかった  そんなある日、少女は川で水死の状態で見つかった  警察の調べによると、河川敷に丁寧に靴が並べられていることや、その上に少女の筆跡の遺書が置いてあること、更にその両方から少女以外の指紋が検出されなかったことから、少女は自殺と見なされた  ただ、遺書の内容から自殺の動機が見えにくかったとのことで、警察は捜査を続けている
菱田龍彦