数学

 「……またか」 自分の元に返されたテストの答案を見て出た独り言。答案用紙の名前を書く欄の横には赤い「0」が書かれていた。  授業開始のチャイムが鳴り終わった直後に、1限目の教科担任の先生が発した「昨日のテスト返すぞー」の一言。 この時から嫌な予感はまあまあしていた。 今日の一限目は数学。昨日行ったテストの返却と間違いが多かった箇所の解説、それから残った時間で次回以降のテストに出るかもしれない場所の予習だ。    一限目からこんなにメンタルを持っていかれるとはなかった… 完全に僕の自業自得なのだが。  授業中、僕はノートを撮るフリをしながら自分のテスト用紙の0点をずっと眺めていた。夢かと思い、目を擦り頬をつねってもう一度答案を見てみる。やっぱり変わってない。「なぁ、0君。君の左側に1を付けてくれないか?君のすぐ後ろだろ?」馬鹿みたいな神頼みかなんなのかも分からない願い事を頭の中で言いながら、もう一度答案用紙を見る。相変わらず0から変わりなし。
シャチまる
シャチまる
気軽に日記感覚で書けたら良いなと思っています。