荒廃したこの世界は今日も美しい・5

荒廃したこの世界は今日も美しい・5
《???:シファ視点》  ハロー。私の名前はシファ。いきなりで悪いけど、状況を丁寧に説明している暇は無いんだ。端的に言うから、絶対に聞き逃さないでね。  目が覚めた時、私は脳以外へのアクセスを遮断され、何処か分からないただの暗闇に閉じ込められていた。初めは怖かったけど、どうにか状態は回復の道を進み、今では身体のほぼ全ての感覚が私のものになった。 この暗闇に別れを告げるのは後少しだ。瞼さえ開ければ良い。なんて悠長な事を考えていた、その時ー 「イヒ、アコチヒ⁉︎。イアッチアハオヂオルガべドノク…」 私じゃない何者かが、くぐもった声で確かにそう呟く。意味こそ理解できなかったが、それはたしかに「言語」だった。プログラムで発言を制限された機械音声でも、声かどうかも認識出来ないような堕音でもない。きちんと規則に従って発せれた言葉だ。  私は動揺を隠し切れず、荒い息ばかりを繰り返し吐いた。言葉が詰まる。不穏な気配に、手指すら震える始末だ。 不安や恐怖に漠然と駆られていた時より、ほんの少し「鮮明なもの」に対する恐れが、冷静さを欠いてはいけない場面で私をパニックにさせる。 (だ、誰…?。誰かそこにいるの⁉︎)
クリオネ
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪ リハビリ感覚でたまに短編を投稿するかもです。 ※注釈※ 時折り過去話に手を加える事があります (大きく変えた場合は報告します) 定期的なご確認をお願いします。 novelee様の不具合か、 長い文章の一部が 途切れている場合があります。