荒廃したこの世界は今日も美しい・5
《???:シファ視点》
ハロー。私の名前はシファ。いきなりで悪いけど、状況を丁寧に説明している暇は無いんだ。端的に言うから、絶対に聞き逃さないでね。
目が覚めた時、私は脳以外へのアクセスを遮断され、何処か分からないただの暗闇に閉じ込められていた。初めは怖かったけど、どうにか状態は回復の道を進み、今では身体のほぼ全ての感覚が私のものになった。
この暗闇に別れを告げるのは後少しだ。瞼さえ開ければ良い。なんて悠長な事を考えていた、その時ー
「イヒ、アコチヒ⁉︎。イアッチアハオヂオルガべドノク…」
私じゃない何者かが、くぐもった声で確かにそう呟く。意味こそ理解できなかったが、それはたしかに「言語」だった。プログラムで発言を制限された機械音声でも、声かどうかも認識出来ないような堕音でもない。きちんと規則に従って発せれた言葉だ。
私は動揺を隠し切れず、荒い息ばかりを繰り返し吐いた。言葉が詰まる。不穏な気配に、手指すら震える始末だ。
不安や恐怖に漠然と駆られていた時より、ほんの少し「鮮明なもの」に対する恐れが、冷静さを欠いてはいけない場面で私をパニックにさせる。
(だ、誰…?。誰かそこにいるの⁉︎)
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2025/9/19 14:49
最終編集日時: 2025/9/25 5:15
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪
リハビリ感覚でたまに短編を投稿するかもです。
※注釈※
時折り過去話に手を加える事があります
(大きく変えた場合は報告します)
定期的なご確認をお願いします。
novelee様の不具合か、
長い文章の一部が
途切れている場合があります。