夜の学校

夜の学校
僕はその日、学校の授業にまったく集中出来なかった。授業より、これからの自分がどうなるかの方が気になるからだ。いつ呪い殺されるのか、僕は祓って封印出来るのか。僕は妖霊退師としてやっていけるか。本当にあいつにはうんざりだ。心が真っ紅に染まるような感じだった。恐怖や憎い気持ち、それにプレッシャー。本当に心が潰れそうだった。もう今から『呪い殺されればいいのに』とか思いながら…気がついたら学校が終わっていた。僕はすぐに家に帰った。もう学校になんて行きたくない、妖霊退師なんてやりたくない。自分の部屋に引きこもって、ベットにくるまって、何もかも忘れたかった。気づいたら僕は寝ていた。晩御飯も食べて、風呂も入って部屋に戻った。気づけば後5分で夜の10時だ。僕はもう決めている!絶対に学校には行かない。そして妖霊退師にもならない!家族に心配をかけたりしないんだ!僕は心に決めた。そして約束の時間の夜10時がやってきた。僕は鏡の世界とか言ってたから、自分の部屋にある鏡をずっと見ていた。いつやってくるか怖かったから。そして約束の10時を過ぎた。やつはやってこない、僕はやったんだ!やった!僕はすごく嬉しかった。心の底から。だがそんな気持ちはすぐになくなってしまう。なぜなら、鏡から金次郎がやってきたからだ。しかも昨日の顔よりすごく怒っていた。まるで鬼のような形相をしている。[約束の時間を過ぎても学校に来なかったな?君は妖霊退師になる運命なのに、その運命から逃れようとした。『死』に値する。さぁこっちに来い!まぁ俺から行くがなぁ!]するとバッと僕の目の前に現れて鏡の中に引き摺り込まれた。そして鏡から出たのは僕の住むマンションの屋上だった。六階建てのマンションの上は想像より遥かに高く見えた。[さぁ、俺が10秒数えたら背中を押す。そして頭から落ちてゲームオーバーだ。簡単なことだろ?]僕は必死に助けを求めた。[助けて!死にたくない!誰かぁ!]でもこんなことをして助かる訳がない。こんなとこから声が届く訳がないんだ。気づけばもう後3秒しか残ってない。助けてくれる人なんていないんだ。いるとすれば『妖霊退師』くらいだろう。僕が生きてきた中でそんなことを聞いたこともなかった。それに昨日のこいつの説明で妖霊退師が他にいるなんて事も言っていなかった。僕はここで死ぬ運命なんだ。[ゲームオーバーだ。]あぁ、終わった。僕の人生はあっけなく終わったんだなぁ。来世はもっと人気のある恒星や雄太みたいになりたいなぁとか思いながら背中を押された。みんな、さようなら… だが、僕は生きていた。誰かに抱かれている。誰だ?と上を見てみると、なんと恒星だった。でも空を飛んでいる、なんでだ?と下を見るとなんと光り輝く鷹に乗っていた。しかも服がいつもと違う。全身白色に包まれた袴みたいなのを着ている。[ったく、世話が焼けるぜ。お前はまだ生きるんだよ!陽輔!][恒星…]僕は友達に命を救われたんだ。涙が出た。ポロポロと…すると金次郎と戦っている奴が二人いる。一人は、雄太だった。もう一人は……え?金次郎?!じゃあ僕が見ていた金次郎は…僕が見ていた金次郎は段々と金次郎じゃなくなって、どんどんデカくなっていった。最後でかくなりきった時、奴は牛の顔をした化け物になった。だがあいつを僕は本で読んだことがある。あいつは、『牛鬼』だ。雄太と金次郎が応戦している。そして鷹に乗っている恒星も手から紫色に光る魂を牛鬼に当てている。しかもマシンガンみたいな速さで。僕は情けなくなった。僕の友達はこんなにも恐ろしい化け物と戦っているのにも関わらず、僕はみんなに迷惑をかけて、僕は戦えないのか。なんて未熟なんだ!僕の心はまた真っ紅になった。目の前も真っ紅になった。心が真っ紅に燃え上がるような感覚だ。これが怒りなんだろう…あいつが僕にこんな目に合わせた元凶なんだ。なんて憎いんだ…僕の友達に傷をつけて友達が呪い殺されたらどうしてくれるんだ!僕は鬼にでもなっているかのようだった。額からツノが生えてきそうだ。恒星を見ると何か言っていた、だが全く聞こえなかった。だが僕と恒星に変化があった。なぜか空を飛んでいた鷹が段々紅く燃えていく。そして僕の額から真っ紅になった角が生えてきた。[まずいっ!]恒星が言った。だが、そんなこと僕はどうでもよかった。あいつを倒したい、封印したい!そんな気持ちでいっぱいだった。[陽輔!お前に何が起きているのかは知らないが、俺が乗っているのが壊れそうだ!俺は大丈夫だが、お前がやばい!早く飛び降りろ!]恒星が言った。は?こんなとこから飛び降りれる訳ないだろ!死ぬよ?でも僕は飛び降りれるところを見つけた。屋上だ!僕は屋上目掛けて飛び移った。見事に着地が決まった!今ならなんだって出来るような気がした。僕は牛鬼に向かって真っ直ぐに歩いて行った。僕は怒りに燃えていた!あいつを絶対に倒す!
Amaterasu
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