第七十四話

望月がか細い声で呟いたのを、海野ははっきりと捉えた。海野は、珍しく縮こまっている望月の目の前に膝を着いた。 「…ふふっ。望月にもそんな一面あったんだな。本音を知れて、ちょっと嬉しい。」 「……は?」 海野の予想外な返事を聞き、つい顔を上げてしまう望月。 「…殴るわけないだろ?俺がここまで強くなったのは俺の力だけじゃない。お前が引っ張ってくれたから、俺はここまで来れたんだ。ありがとう。」 望月には、海野の言葉の意味が分からなかった。黙って海野を見つめる。と、海野が少しだけ眉を下げた。
澄永 匂(すみながにおい)
澄永 匂(すみながにおい)
連載中の作品は、金、土曜日辺りに更新予定です。 大学生&素人なので文章がぎこちないですが温かく見守ってください。 中学生の頃に作っていた話(元漫画予定だったもの)を書けたらいいなと思い、始めました。