鏡面
雨が降っている。天気予報で伝えられた通りに雨が降っている。
ぱたぱたと屋根を叩く雨音は、煩わしくも子守唄のような旋律を奏でた。
黒い踵がアスファルトの窪みに溜まった水溜りを踏んでいく。夜が更けてもまだまだ雨足は衰えることを知らず、歩いている彼の肩を黒々と濡らしていた。
手に白い骨壷を抱えた彼の横顔は、黒髪が顔に張り付いていて伺いきれない。
傘もささずゆっくりと歩いている。
こいつは生きている。
生きてしまっている。
晴中陽。骨壷の「中身」の名前である。彼を救った唯一無二の人間であり、地獄に落とした張本人でもあった。
いつもにこにこと微笑んでいて、笑みを絶やすことのなかった陽。手を差し伸べて救ったかと思いきや地獄に引きずり落とした陽。
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カテゴリー: お題
投稿日時: 2023/4/19 7:37
雪月真冬
雪月真冬と申します。実を言いますと昔pixivによくお邪魔させていただいていた者です。年齢不詳でお願いします。男子です。フォローしてくれたら嬉しいです。是非フォローしてください!
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