真夜中の太陽。

真夜中の太陽。
『出た出た 月が まるいまるい まんまるい 盆のような 月が』 誰もが耳にしたことがあるだろうその曲が似つかわしいのは、まさしく今日だ。 十五夜だからといって特別に何かをするような人間ではないのだが、暗い空で光を放つ見事な満月を目の当たりにすると、意外にも団子でも買って帰ろうかと思うものだ。 中秋の名月とも呼ばれる今宵の月が、まだ夏の香りが残っている生活に秋色を差してくれる気がする。 とっくに日付が変わった今、開いている店も限られるため近くのコンビニで月見団子を買う。 ぬるく締りのない店員の声と共に自動ドアを抜けると、まるで待っていてくれたかのように月が僕を照らす。 なんとなく、外灯の灯りを受けた白線の上にゆっくりと歩を進めながら家を目指す。 ふと振り返ると、何食わぬ顔で月が付いて来ていた。 なに子供みたいなことしてるの、とでも言うように。 有り難いことに、その白線は途切れることなく僕を家まで導いてくれた。
おもち
おもち
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