流血

流血
 まさしく、バケツをひっくり返したかのような、という表現が似合う豪雨だった。  傘の中、握る手に温い液体が伝う。  あちらが身動きする度、私の手に、腕に、肩に、ポツポツと跡を遺していく。  私の気を静めようとしていたのかもしれない。しかし、ドクドクと脈打つソレは、より強く握りしめる方へと私を導いた。  必死に圧迫しているというのに、止まらない。この事実が一層焦りを育てていく。  手のひらは既に、ぬるりとした感覚に包まれていた。  以前から異変は感じていたのだ。何ということもない場面で、繋いでいた手が濡れていたこと。寄りかかってきた肩に、じわりと滲んだ色。  もう限界だった。  そんなこと、分かっていた。  もう一度握り直し、そっと傷口を見上げる。
白椿
白椿
主に小説を書いてます。 気まぐれ投稿です。