絵空事の音楽室

絵空事の音楽室
「おはようございます」  澄んだ朝の空気に脈打つ鼓動が際立って感じた。 「...おはよー」  側から見たら気まずいという一言に纏められそう。先輩はいつも通り素っ気ない。わたしの視線を振り払うように先に進んでいく。私は後を追いかけることを諦め、ゆっくりと下駄箱に靴を納めた。忘れ物をした教室に寄った頃には音楽室から先輩の吹くトロンボーンの音が聞こえてきた。その音色は、諦めたように空気のまま貫通してるみたいだった。聞くたび、どこか熱を欲してるように思った。それは、私にとっては少し怖かった。  一年生の頃、先輩から何で吹部に入ったのか聞かれたときがあった。 「なんで吹部に入ったん?」 「憧れだったんですよね」 「ふーん。」
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