邂逅する若き咎人
ダルタンは地を穿ち震えさせる轟音で目を覚ました。
再び夜空を見上げたその時、謎の飛行物体が彼の視界を横断していく。
ダルタンは一つ、二つ、三つと目で追いかけて、それが瞬く星々の下で群れを成していることに気が付き、数えるのを止めた。終わりが見えなかった。
やがて月明りが飛行物体の正体を露わにする。
注意深く観察していたダルタンの虹彩に、威圧的な狼のシンボルが映り込む。そして彼は、それらが米国特殊部隊の武装ヘリだと気が付く。
ダルタンの生まれ故郷、ルクセンブルクが米軍に滅ぼされた時も、彼は全く同じ光景を目の当たりにしていた。
「僕のことを追いかけて来たのか……?」
急いでリオラを担ごうとしたその瞬間、ダルタンの視界が不自然に明滅する。隅に追いやった男の死体から微かに光が漏れ出ていた。
ダルタンは男の上着を力任せに引き剥がす。すると、コートの内側から米軍に属することを示唆するドッグタグと、光の出所である通信機器が露わになった。
「浮浪者のふりをして近づいて来たんだ……早く逃げないと」
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2022/1/26 14:54
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
アバディーン・アンガス@創作アカ
ローファンタジーや一風変わった雰囲気の作品が大好物。
主にダークファンタジーとかサイバーパンクとか、好きな要素をごった煮した作品を鋭意執筆中です。
「好きじゃないけど面白い」と言われる作品を目指しています。
合間に書いた短編を気ままに投稿していく予定です。