ノベルズ 外の世界

 ここは誰がそう呼んだのか。大陸ノベルズ。そして俺がいるのはルインという街。教会が突然教典を配布した。"ついに外の世界と繋がった。この現象を『イベント』と呼ぶことにする"。  ついに教会は頭が狂ってしまったか。いや元からか。"外の世界"という聞いたことが無い言葉。外とは、世界とは?  この街は常に空は暗く、街の中央にそびえ立つ時計塔から鳴り響く鐘の音で、月が満ち欠ける。ただそれだけ。今日は朝が来るだとか、夜はいつか終わるだとか。全く何を言っているのか理解できないが、どうやら街に『外側』が出来たらしい。  自分でもどういう意味なのか分からない。だが目の前にはそれはあった。街から少し離れた街路を歩けば、見たこともない大荒野が広がっていた。 「は……?」  その先には街がない。建物も、人の姿も、そして空が明るかった。青い空。最初は頭が混乱した。空が明るいなんてあり得ないからだ。これが本当に教会が言う『朝という名の、夜の終わり』ならば、俺たちは教会に負けたということになる。
影白/Leiren Storathijs
影白/Leiren Storathijs
実は26歳社会人です。 基本ライトノベル書きます。 異世界ファンタジー専門です。 執筆歴は10年以上です。