向こう側の女
①
知らない人が僕の部屋で夕飯の支度をしている。昨日もここで寿司の出前を一緒に食った。一昨日は何か作っていたような気がする。
この「女」が僕の家に現れてから温かい飯が毎日欠かさず食卓に並ぶ。それにしてもこの「女」の記憶がまるでない。名前や年齢は当然、いつ僕と知り合ったのか、僕との関係はどういったものなのか、全く僕は知らない。
②
「女」の存在を確認したのは、耳がもげてしまいそうな寒さが厳しい冬の日だった。ような気がする。酒に酔ったおぼつかない手つきでアパートの玄関を開けると「女」はリビングに座っていた。あたかもそれがありきたりな日常であるかのように。
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カテゴリー: お題
投稿日時: 2023/4/30 2:36
最終編集日時: 2023/5/4 1:30
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
ハヤト