ほんと、敵わない
死んでよ。
僕の記憶の中の1番古い言葉。そして、1番傷ついた言葉。
幼心にそれが両親の本音だと思った。
常に酒に酔って、常に暴言を吐いている絵に書いたような毒親。それが僕の親だった。
僕は昔から親に嫌われないよう必死だった。少しでも辛そうな素振りを見せれば怒鳴られる。だから、辛い時に笑う癖ができた。笑っていると気持ちが少し軽くなるから。
それにどれだけ怒鳴られても僕は親が好きだ。たまに優しくなるから。僕のことを褒めてくれるから。
親は暴言は吐くけれど手を挙げたことは無い。子供に手を挙げる親に比べたらよっぽど優しい。それに、本当は僕を愛してくれている。だから、高校に行かせてくれた。
だから、僕が今屋上から飛び降りて死のうとしているのは親のせいじゃない。ただ疲れたからなんだ。
けど、だめだ。覚悟を決めたはずなのに、足が竦んでしまう。結局僕は死ねなかった。
それからも何度か挑戦したが、やはり同じように手が震え、足が竦む。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2023/4/3 7:17
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
みお