木漏れ日のウィンク ♯1
『音のないピアノ』
私には「色をつける」ということがよく分からない。
美術はいつも飽きてしまうし、絵の具パレットも筆もいつも固まったまま。まずどうすれば世界に色がつくのかすらわからない。
試しに筆と赤と書かれた絵の具をとり、近くにあった画用紙いっぱいにのばしてみた。それでも私には、灰色にしか見えない。
「ウィンク、私どうすればいいの?」
「この前言ったよ。色は人間の心によって変わるって」
違う。私が聞きたいのはどうすれば色をつけられるのかであって、そんなことではない。
「……心の色を変えれば世界が変わる?」
ウィンクはニコリと笑ってみせた。返事はしなくとも、それが答えだとわかった。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2023/10/14 4:08
最終編集日時: 2023/10/14 4:09
きのこ
面白い!もっと読みたい!と思って貰えるようなものを書けるよう、日々頑張っております