スキャーリィ編 18話 エリカ7

スキャーリィ編 18話 エリカ7
 衿華《えりか》に迫りくる触手、しかし自身の身体はふわりと宙に浮きそれを難なく回避する。そして、背中にある感覚だけを頼りに蛾のように羽を羽ばたかせる。  蚕は本来なら羽が退化して飛べない虫の一種。それは人間にずっと家畜として品種改良を繰り返された結果起きた事。  しかし、お婆ちゃんが衿華に向けて言っていた『天蚕《てんさん》』という種類の蚕は空を飛ぶことができる。それは人間家畜として飼われてきた虫ではなく、野生で自分だけの力で暮らし生きてきたから。 「飛べた……!」  衿華達人間は筒美《つつみ》流奥義の舞空術でも使わなければ、滞空すらできない。衿華にはもちろんそんな事は出来なかった。
華蘭蕉(はなかんな)
華蘭蕉(はなかんな)
百合そうで百合くないでも結構百合な『だーくふぁんたじー』を書く小説家こと『はなかんな』です。小説内で多用する花言葉をトッピングか何かと勘違いしてる説がある。本人曰く花言葉のライブ感がたまんない。やっぱ花言葉よ。 だいたい毎日更新中。忙しい時は更新忘れるかも。連載中のお話の続きが気になる方はTwitterのリンクを辿ればいっぱい読めます。