拝啓、世界のハッカーになりました #0
ビュウウウ、という風の音を期待していた。
僕は今学校の屋上のフェンスの向こう側に立っている。そこに意味なんてなければよかったのだろう。
今の僕には意味がある。明確かつ光っていて、なにより狂気的な意味だ。救済だ。僕にとってのなによりの救いだ。やっと、やっと救われる。ありがとう神様。こんなクソッタレな環境を造ってくれて。
事の始まりは夏休み前だった。僕へのイジメが始まった。理由?そんなのは知らない。知りたくもない。もしくは無かったのかもしれない。イジメは初めは軽くぶつかられたりシャーペンや修正テープを貸したまま帰ってこなかったりだとかだった気がする。イジメを自覚したのは貸したそれがゴミ箱にあったから。中盤になると、呼び出されたり友達に目の前で裏切らせたりなど目に見えない精神的なものが多かった。逆に言えば目に見えるイジメはそれほど酷くなかった。この時点での僕の精神は千々に切れ再加工され、なんなら目の前で起こっている僕自身へのイジメに何にも感じなくなってきていた。
終盤、つまり1週間ほど前だ。ここまで来るともはや嗤えてくる。髪の毛を切られるのはまだ良い方で、登校すると椅子や上靴がなかったりなんなら筆箱を目の前で投げ捨てられたり。そういえば、昔読んだ本に『人は限界を迎えた時、本物の壁を直視するのだ』と書かれていたような気がする。実際限界は超えていた。とっくのとうに僕は限界を迎えていた。限界、限界、それを探すたびにレールからボロボロと崩れ落ちていたのだ。
3
閲覧数: 61
文字数: 1625
カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2023/4/21 6:30
最終編集日時: 2023/4/21 6:34
翠千
noveleeに漂流した人外
ちょっとちょっと、なんか前の垢入れなくなったんだけど!?
改めてはじめまして!翠千(すいせん)だよ〜
寂しがり屋だからいっぱいかまってくれると嬉しい、、な。
僕のフォロー対象は尊敬してる方or “前関係があった方” だけだからね!
start → 4/15