【第4回NSS決勝】届かない音

 大学で人間の脳について学んでいる私は、日夜様々な奥深い知識を身につけている。そんな中、とある疑問に当たった。  人間の理解の先にあるような、未知なる音を聞いた時、人間はどうなってしまうのか。  初めは些細な問いだった。人間は果たして認識できるのか、脳が壊れるのではないか、死に至るのではないか。考えれば考えるほどに私は恐ろしくなり、ついには恐怖を感じるようになってしまった。  厄介なことに、私の考えはどんどん膨らんでいき、ついには日常で耳栓を用いて音を遮断するようになっていた。  ある日、いつも通り家に引きこもり音を遮断して過ごしていると、突然視界がぼやけ始めた。初めはただの立ちくらみかと思ったが、次の瞬間には私は床に倒れていた。  私は自らの置かれている状況を理解できず、半ばパニックになりながら耳栓を外した。するとようやく、部屋中に響く謎の音に気がついた。発生源は天井に取り付けてある一酸化炭素警報器だった。  一酸化炭素中毒……  薄れゆく意識の中、私は自らの愚かさに呆れ返った。ありもしない音から逃げ続けた結果、本当に必要な音が届かなくなってしまっていたのだから。
黒鼠シラ
黒鼠シラ
【自己紹介】 物語のプロットを考えることが好きな大学生です。かなり遅筆です。 最近は企画運営ばかり行なっていますが、稀に新作を投稿したりするので是非読んでいただけると嬉しいです。 【King of Novelee】 現在開催中 歴代キング ※敬称略  初代 ot  2代 ot  3代 史 歴代年間キング ※敬称略  26年  【N-1グランプリ】 次回開催開始日 8月1日 歴代王者 ※敬称略  初代 美水小春  2代 ピリカ  3代 史  4代 有陽へいか  5代 花瀬詩雨  6代 七宮叶歌  7代 ひるがお  8代 ゴースとライター  9代 K 【黒鼠シラについて】 22年6月 投稿開始 22年12月 第1回N-1開催 24年1月 新アカウントへ移行 26年5月 NSS優勝