その字

 押し入れから見つかった黄ばんだノート。  その隅には、子どもの頃に見慣れていた、少し丸い字の返事が眠っている。  あの頃、私は毎日そのノートを机にそっと置いていた。  すると翌日には、知らない誰かが返事を書いて戻してくれた。  名前も、顔も知らない。でもその字を見るだけで胸が弾んだ。  「つぎはきみのばんだよ」  その一行が、当時の私をワクワクさせていた。
寸志
寸志
はじめまして 恋愛小説を書くことが多いです。