選択

高校二年の春、僕らのクラスには「卒業記念制作」の話が持ち上がった。 三年生になる前に、学校の歴史を残す映像を撮るらしい。 誰でも参加できる実行委員を募集すると、教室は一瞬だけ静かになって、すぐに誰かが笑った。 「めんどくさそう」 その一言で空気は決まった。 僕は手を挙げかけて、やめた。 窓際では、親友の樹が鉛筆を回している。 目が合うと、「お前、やると思った」と笑った。 「やらないよ」 「ふーん」
叶夢 衣緒。/海月様の猫
叶夢 衣緒。/海月様の猫
綺麗事が救いにならない夜の話。 正しさに置いていかれた感情と、 救われなかった青春の残骸。 優しい言葉ほど、いちばん痛い。 2023年 2月27日start 3月3日初投稿