穏やかな

穏やかな
特に変わったこともなく、電車が停車音を立てながらホームに入ってくる。 ノロノロと減速し、ガスが漏れるような音を立てて完全に停車する。それと共にアナウンスがなり、ホーム側と電車側の二重の扉が開く。 日曜日ということもあってか、日中にも関わらず車内は人が混み合っていた。 僕は座席前の吊り革に捕まる。 そしてベルがなり、電車が発進する。 薄曇りの戸外。 白い景色に落ち混むように家々が穏やかな乱立を見せ、その見栄えのない景色が退屈に流れて行く。 僕の頭も曇っている。 とは言っても落ち込んでいるわけではない。ただ、眠いだけだ。 いや、もっと正確に言えば、寝不足により脳が疲れているだけかもしれない。
ばぶちゃん
ばぶちゃん
基本連載 時々短編 文章虚偽祭り ナポリ湾 少なめ健三郎 自然薯