はじめてのカメラ

水管橋の下、河川敷にあるブロックの窪みに足を引っ掛けて腰をかけた。手元にはカメラがひとつ、まだ青白い空を眺め、夕暮れを待った。覚束ない機械には憧れが帯びていて、意味もわからず付随するダイヤルを回しながらレンズの世界を確認した。太陽を写真に収めるのは、思っていたよりも難しいらしい。慣れたiPhoneでは、いつも通りのくっきりとした輪郭の陽が映るのに。カメラは、ISO感度、F値、シャッタースピードなどを調節して創意工夫していく必要があるとのことだ。 なんて、目の前に広がる壮大な景色とは裏腹に、目の前のカメラのことについて必死にもがいていた。 そうこうしていると日はだんだんと落ちてきて、差し込む光がまばゆく水面に反射するオレンジ色に染まっていった。 角度を調節して、シャッターを切る。 設定もあやふやなレンズ越しの景色だけど、はじめてのことだらけの今日を少しだけ誇りにしたいと思った。
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