道の無い神
直近で頂上の見える、小さな山。山脈の端に埋まる、小さな山。
麓にある看板にはその山の名が書いてあったのだろうが、大部分が酸化してしまっていた。名前も知られぬ、寂しい山。
その中腹、獣道の様な石の階段を登った場所。真っ赤な鳥居の奥に、陽の当たる小さな神社。参拝客のいない、寂しい神社。
そこへ住まうのは、何の力も持たぬ弱い神。名前を持たない、哀れな神。
八百万の神様は言った。
「可哀想に」
いつも一人ぼっちで可哀想、誰にも頼ってもらえず可哀想。弱くて可哀想。
八百万の神様は言った。
「怠け者め」
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2024/3/29 13:11
最終編集日時: 2024/3/29 13:16
月影羽
作家志望の学生
好きな作家は芥川龍之介、太宰治、フョードル・D、東真直、夜咄頼麦etc.
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