なつさめ

 夏というのに映画を見た。おとといの僕は夏に映画は風情がない、と言ったが、今日の僕はあの子のせいだろう。夏希の右隣に座って見ていた。男と女が付き合う映画なんてとてもじゃないが見てられなかった。ただ、左を横目で見ていた。    映画館を出ると雨だった。運良く折りたたみ傘があった。傘を開くと夏希が入ってきた。彼女はただ、「狭い」と言って僕を少しだけ押してきた。傘を差したまま二人で歩いた。僕の右肩だけ少し濡れていた。    雨降る街並みを歩いた。傘を差してから僕は何も言えなかった。夏希も何も言わなかった。   「あ、あの鳥」    夏希が指を差した。電柱に止まっている、白い鳥だった。羽が濡れて、飛べずにいるように見えた。  
かきあげ
かきあげ
バナナです