羨望
小説家の卵である親友は、無駄がない。
承認欲求も低く見てもらえなくたって動じない。
私はこんなにも動じているというのに。
本人は殴り書きの駄文だと言っているけれど、彼女の小説には才しかなく文豪の悲観や不憫、空想を書いた文学そのものに見える。
歌しか取り柄がないと、歌というものに執着し、自己顕示欲ばかりで、能力に固執する私なんかより、もっと上の、どこか悟ったようなその姿勢が輝いて見える。
私は今日も咳で歌えない。ないものねだりばかりしている私は、このままだときっと歌手の卵としての命を落とすだろう。
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2024/2/19 16:35
榊原 霞
人見知りでやんす