雨乞い

雨乞い
 これは、今は無きとある集落の話。  山の最中、川により開かれた土地であった。その成り立ちに反して、水に恵まれぬ土地であった。  そこでは、毎年ある時期になると雨乞いの儀式が開かれた。かつて川が流れ出た源にて、選ばれた栄誉ある者が舞を踊るものだった。  年ごとに異なる者が披露した舞は、どれも見事であった。何処にいるかも分からぬ神でさえも、喜びて雨をもたらす程であった。  人々はその喜びを有難く頂戴し、乾いた日々の潤いとした。その日々は、いつしか必ず訪れるものと思われた。  ある年、舞にて失態を犯した者がいた。しかし、雨は当然のように与えられた。  暫し、その失態は誰とも知られずに日々が過ぎた。だが、ある時誰もが感じ取った。  雨が、止まぬ。  舞を踊った者は、あらゆる人々から問い詰められた。その親でさえ、舞を踊った者を罵った。
白椿
白椿
主に小説を書いてます。 気まぐれ投稿です。