卒業

「卒業おめでとう」  先生はそう言って私に握手を求めた。私は冷静にそれに応じる。 「ありがとうございます」 「こっちこそありがとうな。佐倉(さくら)にはすごく助けられたよ。アイとリナも最後は教室に来れるようになって…みんなで卒業できて良かった。佐倉のおかげだ。本当にありがとう」  アイとリナは私たちのクラスメートだが、保健室登校だった。先生に頼まれて、私はよく二人に会いに行っていた。プリントを届けたり、単に遊びに行ったり色々した。 「来れる、じゃなくて、来"ら"れる、です」 「そういうとこ厳しいよな」  私が子供っぽく指摘すると、先生は苦笑した。私は成績が良かったし、保健室登校の生徒を支えていたわけでちょっと優秀すぎるから、子供っぽいところも見せていかないと。 「佐倉に助けられてばっかりで、佐倉の話は全然聞いてやれなかったな。ごめんな」 「今聞いてくれるんじゃないんですか」
そら
そら
きままに書きます。