卒業
「卒業おめでとう」
先生はそう言って私に握手を求めた。私は冷静にそれに応じる。
「ありがとうございます」
「こっちこそありがとうな。佐倉(さくら)にはすごく助けられたよ。アイとリナも最後は教室に来れるようになって…みんなで卒業できて良かった。佐倉のおかげだ。本当にありがとう」
アイとリナは私たちのクラスメートだが、保健室登校だった。先生に頼まれて、私はよく二人に会いに行っていた。プリントを届けたり、単に遊びに行ったり色々した。
「来れる、じゃなくて、来"ら"れる、です」
「そういうとこ厳しいよな」
私が子供っぽく指摘すると、先生は苦笑した。私は成績が良かったし、保健室登校の生徒を支えていたわけでちょっと優秀すぎるから、子供っぽいところも見せていかないと。
「佐倉に助けられてばっかりで、佐倉の話は全然聞いてやれなかったな。ごめんな」
「今聞いてくれるんじゃないんですか」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/11/8 17:34
そら
きままに書きます。