第二話 そして新たなる始まり

第二話 そして新たなる始まり
 師匠と裏路地に入ると師匠はあの男について話始めた。「あいつは東井と言ってな、異能者最強と言われている奴だ。」東井……そんな奴が俺に声をかける理由がますます分からない。「その東井って奴は|裏《・》で最強って事だよな」疑問に思う事を率直に師匠に質問してみる。すると師匠は立ち止まり「あいつは裏だけではなく全ての人が認める最強の異能者だ。」とまた歩き始めた。つまり世界で一番強いと言われているのか。「師匠、なんで東井は最強なんて呼ばれるんですか??」師匠はこちらをチラ見すると「少し東井について話そうか。」そう言うと師匠は東井について語り始めた。「東井の異能は座敷牢と強奪と言われているがまだ持ってるかも知れん。そして|あいつ《東井》は過去に悪魔と天使を単独で封印したんだ。」天使と悪魔……。天使は知らないが悪魔は知っている。かなり有名な異形だったはずだ。古の昔に世界を滅ぼそうとした張本人だからだ。今も神話になって受け継がれている。そんな奴を封印出来るほどの実力って……。俺は唖然とした。そうしてるうちに目的地に着いた。そこは少し寂れた裏繁華街だった。「ここって……」そこは朝とは思えない程キラキラして賑やかであった。「置いてくぞー」阿山が声をかける。「あ、はい」俺は早足でついていった。その先あったのは繁華街とは一風空気の変わった喫茶店だった。年季のある扉を開けると軋む音と共にベルの音が鳴った。「いらっしゃい」そこのカウンターに立っているバンテンダーはすごく幼く、笑顔が綺麗だった。「今日はどうしますか?」俺はこれぞとばかりか阿山さんに聞いてみる。「ここの店主って」そう聞くと阿山が「あぁ彼?彼は東光一。この辺り一帯を仕切る人だよ」「そんなに凄いんですか?」「凄いとも、なんたって海より強いもん」俺は驚きだった。師匠より幼い彼が師匠より強いなんて。一体どんな異能なんだ!?あれ?じゃぁこの喫茶店にはなんの用があるんだろう?流れで来てしまったが「行くぞ」師匠が店を後にしていく。俺もそれに伴い店を後にした。店を出た所で俺はあの喫茶店について聞いてみた。師匠は止まり、懐かしそうに語った。「あの喫茶店はこの辺り一帯の情報が入ってくるからな。まぁ俺らのような奴らの集まりさ。前はそれで集団なんか作って……あの時は楽しかったな」そう語り終えると師匠は俺に質問してくる「いつまで俺について来る気だ?」あ!そうだった。流石についてき過ぎたたな。師匠には悪い事をしたのかもしれない。「俺はこのへんで行きます」一礼をしてから背中を向けると後ろから師匠が「元気でな」と言ってくれた。俺は後ろ向きに手を振った。それから俺は浅草区に向かった。理由は特に無かった。強いて言うなら友人が多くいるからが理由だろうか。そうして俺は午後10時頃に浅草へ着いた。「今日は何処で寝るかな」寝床を探して歩いていると死体にかぶりつく人がいた。我を忘れたように一心不乱に死体にかぶりつく。俺は背中にある大鎌を構えた。多分異能に耐えきれなかった人だろうな。するとそいつが俺を見るや否や猛ダッシュで俺に襲いかかってきたんだ。俺は大鎌を振り下ろすとそいつを真っ二つにした。「はぁ」片付けてため息を吐くと上から人が降ってきた。いや、降りて来たと言った方が正しいか。俺はどうやらついてないらしい。浅草で一番会いたない奴に会ってしまった。それは楼閣永寿だ。「よぉ遊馬、久しぶりだな」まだ死体を食ってたそいつの方がまだマシかもしれない。
東井タカヒロ
東井タカヒロ
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