それでも彼はそこに居た
弾丸と砲弾が飛び交う戦場
彼はそこで死んだ
戦場の残骸は、時とともに風化していた。砕けた銃器、ひしゃげたヘルメット、土に半ば埋もれたブーツ。雨が降り、風が吹き、陽が昇り沈む。季節は巡り、草が伸び、蔦が這い、木々が静かに根を張った。彼の白骨は、かつての戦闘の只中で動かなくなった場所に、ただ横たわっていた。ドッグタグは錆び、名は消え、誰のものだったかも忘れ去られた。鳥が鳴き、蟻が這い、風が枯葉を運ぶ。時間は淡々と、まるで何もなかったかのように進む。
やがて、戦場の痕跡は森に呑まれた。陽光が木々の隙間から差し、苔が白骨を柔らかく覆う、そこに、一人の女性が来た。粗布の服、籠を手に、足音は枯葉を踏む軽い音。山菜を摘みに来たのか木を切りに来たのか、それとも遠い記憶に導かれたのか、誰も知らない。彼女は白骨の前に立ち、ゆっくりと屈む。瞳に宿る悲しみは、言葉にならない。涙はない。ただ、静かな痛みがそこにある。
その時、彼女の前に彼が立っていた。かっての
姿一一戦場の泥に塗れた若者の姿。魂は、風のように揺らめき、彼女の視線を静かに見つめる。
彼女は気づかない。魂はただそこに立ち、時間が流れても動かない彼の白骨を、彼女の悲しみを、淡々と見つめていた。森は静かで、鳥は鳴き続け、時間はまた一歩進む。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/6/11 8:21
ユート
よろしくお願いしますm(_ _)m
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ごめんなさい、色々疲れてしばらく投稿止めます、本当にごめんなさい