『蔓の記憶』
真白(ましろ)は、駅裏の古い路地にある温室を訪れた。
そこには「朝顔屋」という、時期外れの花だけを扱う不思議な店がある。
店主は、無表情の青年だった。名を尋ねても答えない。
代わりに、蔓の絡まる鉢をひとつ差し出してきた。
「この朝顔は、あなたが忘れたい人の記憶を吸います」
真白は笑った。「そんなの、花屋のセールストークでしょ」
けれど、彼女は鉢を受け取った。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/8/10 11:42
エデン。
小さい頃からお話と詞を書くのが好きでした。
過去に書き溜めた物語や、最近書いた物語を載せていきたいと思います。
イラスト/ノーコピーライトガール様