#7

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村の方を振り返ってみても、鬱蒼とした森が見返すばかりだ。 アルトは村に向け走り出した。 森を抜けると空を覆う枝がなくなり透き通る青色がよく見える。 しかし、いつもなら雲しかない空には鈍色の点がポツポツ浮いていた。 目を凝らしてみるとそれは− 「竜…?ドラグーン?」 噂にだけ聞いていた、帝都の竜騎士団、ドラグニル。数多の空を舞うワイバーンを駆り、圧倒的魔力で相手を魔法によって殲滅する。剣術も優れており帝国では太刀打ちできる相手などいないほど強い集団である。 しかし帝国最強の集団であるから、こんな辺境にあるこぢんまりとした村に訪れるはずもないのだ。 ふと、点が動いた。目を凝らすと、それぞれ両手を空に向けて振り上げたように見えた。 刹那、昼間だというのに空が光で塗りつぶされる。光源が明るすぎるせいで空の青ですらくすんで見える。
Zeruel
Zeruel
趣味の範囲で書きます。 また、才能があるわけではないので、馬鹿にされると言い返せなくて泣きます。 不定期投稿