第二話 僕は漫画家になるのだ

第二話 僕は漫画家になるのだ
「僕は将来漫画家になろうと思う!」 「なんで?」 赤いベレー帽を被り、右手に万年筆を持った僕は、冬弥に背中を向けて高らかに宣言をした。 「昨日-runner runner-という漫画を読んだのだが、それに僕は感化をされたのだ!読感としては常に新作変わりダネスイーツが提供されるようで、僕を魅了していくのだ!」 「新作変わりダネスイーツなんて、ハズレだったら大ハズレそうで怖いんだけど。」 僕はちらりと後ろに目をやると、冬弥は僕のベッドに寝転び、3DSを手にカチカチと忙しそうにゲームをしている。キャラ同士を戦わせる格闘ゲームをしているようで、時々眉間に皺を寄せて真剣そうだ。 「これだから凡人は凡人なのだ。」 僕は、冬弥の無関心さにヤキモキして、少し尖った発言をしてみた。しかし、冬弥は「そうそう“ボンジン“って強いんだよなー」などと訳のわからないことを言い出す。 「やられたー!あーやっぱり久しぶりにやったから鈍ってるなー。」 そうかいそうかい。そうくるなら僕は1人でやりますよと、僕は自分の机の椅子にドスンと座り、用意しておいた真っ白の紙と万年筆を手に、ベレー帽を深く被り直した。