限界集落〜童貞の2人〜

限界集落〜童貞の2人〜
「なぁ進、おめえさんキスはしたことはあるのかい」 トツトツという耕運機の単調な音。 畑を耕しながら勇は言った。 「あぁ?なんだって?音が五月蝿くて聞こえねえよ」 勇はチッと舌打ちをして機械のエンジン止めて、また同じ質問を進に投げかける。 「おめぇキスはしたことあんのかよ」 「キスってお前、突然なにを言い出すのかと思えば」 馬鹿馬鹿しい質問だと進は思った。 80年間1度も性の悦びを知らないまま生きてきたからだ。 勇がこういった突拍子もない質問をしてくるのは、進が千葉の高校を出てすぐに働き始め、社会が自分を拒むと、傷心し山村の集落に移住してきた50年前からずっと変わらない。
ハム太郎
小生、向日葵の種が好きである。 自分がおいしいとおもって食べているものを、皆にも食べさせたい、それが人情というもの。