限界集落〜童貞の2人〜
「なぁ進、おめえさんキスはしたことはあるのかい」
トツトツという耕運機の単調な音。
畑を耕しながら勇は言った。
「あぁ?なんだって?音が五月蝿くて聞こえねえよ」
勇はチッと舌打ちをして機械のエンジン止めて、また同じ質問を進に投げかける。
「おめぇキスはしたことあんのかよ」
「キスってお前、突然なにを言い出すのかと思えば」
馬鹿馬鹿しい質問だと進は思った。
80年間1度も性の悦びを知らないまま生きてきたからだ。
勇がこういった突拍子もない質問をしてくるのは、進が千葉の高校を出てすぐに働き始め、社会が自分を拒むと、傷心し山村の集落に移住してきた50年前からずっと変わらない。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2022/6/27 23:48
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
ハム太郎
小生、向日葵の種が好きである。
自分がおいしいとおもって食べているものを、皆にも食べさせたい、それが人情というもの。