死ぬまでに見たかったひとつのこと

目の前のドアが開く。皆が私を見る。 隣には緊張でガチガチのお父さん。 ヴェールのせいか涙のせいか、視界がぼやける。 音楽が流れゆっくりと前に進んでいく。 (だいぶ時間がかかったな) 花楓のお葬式には何が何だかよく分からないまま参列した。 ニュースを見た時と変わらず頭の中でキーンと耳鳴りがしていた。 部屋着から制服に着替える時、制服がやけに冷たかった。 あまりに急な出来事で何も理解できず、席についた時は涙は流れなかった。
美日向彩乃
美日向彩乃
気の向くままに詩や小説を載せています。アニメ、漫画、音楽や絵が好きです。投稿頻度めちゃくちゃです。よろしくお願いします。