鳴らした音の行く先は 6-10

鳴らした音の行く先は 6-10
第六章十話 サイレントセレナーデ  扉を開くと叶衣がいた。  待たせてごめんと心のなかで言う。 「おはよう」  そう微笑む叶衣に重かった心が少し軽くなる。 「うん。おはよう。入って」  声を絞り出した。何日かぶりに出した声は枯れ、どうしようもなく情けなかった。  俺はひどい見た目だろうし、部屋も荒れている。  でも、叶衣は何も言わなかった。
傘と長靴
傘と長靴
 自分の書いた物語を誰かと共有したいと思い始めました。  拙い文章ですが、目に留めていただけると、幸いです。