死の共有
「俺だけが、みんなと死を共有していない」
そう言った男がいました。Rという男は、私の一つ上の男でオカルト好きなやつで、特に都市伝説を好んでいた。そんなRの奇妙な一面、それが他人と死を共有できていないと言うこと。
阪神大震災、東日本大震災などなど、あらゆる人の命が脅かされる災害に彼は遭遇していないのだと言う。それは特別変わったことではないと私は思う。しかし彼の中では、そうではないそうだ。人と死を共有できていない自分にどこか劣等感を感じているのだと言う。正直、何言ってんだコイツ状態だった。阪神大震災と東日本大震災の両方を経験した私から言えば何とも不謹慎なやつだなと思ったのも事実である。
何でも阪神大震災のときは別地域に住んでいた、東日本大震災のときは海外旅行中だったとのこと。彼の中ではそれが劣等感に感じているようで、しきりに「みんなと死を共有したかった...明日また災害起きないかな」が口癖だった。不謹慎を通り越してイカれてる。そうとしか思えなかったし、とうとう他の人間たちからも災害や死を軽く捉えすぎていると注意を受ける始末だった。そんなRが死んだのは今から3、4年前。
ルーレット族の真似をして愛車を走らせていたところ縁石に乗り上げて横転。死去したという。彼はとうとう死を共有というのを通り越して、死んでしまった。なんとも呆気ないな...そう思っていたときのことだった。彼の家に線香をあげに行った数名が青い顔して帰ってきた。聞くと彼の家に行った際にとんでもない物を見せられたと言う。なんでも死を共有するためのノートと言うものがあり、恐る恐るページを捲るとそこには、有りとあらゆる死に方とそれを共有する相手の名前がズラッと書かれていたという。さらにノートは日記としても機能しているようで最後のページに気になる文があった。
「やはり死を共有するのは無理だった。今になって怖い。だけど、あの人はそれを許してくれない」
Rの言うあの人とは誰なのかはいまだに分かっていない。しかし、話を聞く限り人間じゃない気がするのは私だけだろうか...?
0
閲覧数: 12
文字数: 873
カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2024/11/30 16:48
狼ヶ森 爽籟
狼ヶ森 爽籟(おいがもり そうらい)という名前で活動しています。
個人的趣味で怪談や奇妙な出来事、ときどき特撮のことなどを書いています。文章下手で、まだまだですが頑張っていきますのでよろしくお願いします!