ある男性の独白

ある男性の独白
 私は、以前教師をやっておりました。  中学校の理科を担当していたんです。  教師の仕事内容よりも、子供を相手にする仕事が魅力に感じていました。まあ私の場合は、子供というより女の子と接する機会が欲しかったというわけなのですが。本当に恥ずかしい話なのですが、私は、年下の少女に興奮する人間なのです。とりわけ、中学生の女子がたまらなく好きなんです。それが今回のようなことに繋がってしまいました。  そもそも、私は可愛い女子生徒に対して劣情を抱くことはあっても、決してコトを起こすつもりなんてなかったんです。三十何年も生きているわけですから、人並みの倫理観は持っていました。私のような、女の子に対して劣情を抱く存在は汚らわしく忌避されるものだ、ということも重々承知していたのです。だから、私は成人向けの漫画などで自身の劣情を処理しながら、なんとかやっていけたのです。  そこまで自覚があるなら教師になるべきではない、というのはごもっともな意見です。しかし、受験生の時の私は、特になんの夢もなく、学びたいこともありませんでした。そんな私は友人が受けるから、という理由だけで教育学部に入ってしまったのです。教育学部に入ってしまった以上、教員を目指すのは自然なことではないのでしょうか?その時から多少の下心はありましたけれども、欲望は自分で抑えられていたし、友人との会話の中で話のネタにすらしていたのです。さらに言うならば、学生時代に塾講師のアルバイトをしており、そこで教える力について絶大な信頼を得ていたのです。こんな私は教員になる他なかったのです。  教師になってから十年近くは、自身の欲望を一人で処理していたので、特に大きな問題を起こすことはありませんでした。教師としては、我ながらよくやっていたと思います。生徒に下心を見せることは決してなく、男子女子共に平等に接しておりました。気になる女子生徒がいても、仕事だから思考を切り替えることがちゃんとできていたのです。他の教員からの信頼も厚く、こつこつと真面目に職務に励んでおりました。
尾鰭(おひれ)