その恋、悪魔憑きにて
放課後の閑静とした教室は、単調なペンの擦れる音を静かに享受し続けている。
「……高梨さん、カワイイなァ」
笑みを浮かべ、『悪魔』は俺に囁いた。
俺は、前方に坐している『すきなひと』を程程に見つめながらの自習というまったく有意義な方法でこの退屈な時間を過ごしていた───────。
『高梨佳澄』。これで「かすみ」と読むのだ。身長156センチ。誕生日は12月5日。血液型はAB型。好きな食べ物は抹茶のチョコレート、苦いのが好きらしい。
ふだんは長めのボブだが、運動と食事をする時は後ろで小綺麗にひとつに結っている。くっきりとした二重で、整えられた長いまつ毛が特にかわいらしい。
彼女が俺の好意を察しているのかは分からないが、頻繁に会話はしていたし、好きなお菓子もたまに交換している。俺にとって誰よりも特別な存在だ。
もちろん、俺が恋に堕ちたのは、『一目惚れ』などというばかな理由などではない。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2022/9/26 23:17
最終編集日時: 2022/10/3 1:11
ごとばいん。
古典、現文の題材をリメイクしたり、オリジナルたまに書いたりマンです。