序章 白い息とネオンの夜

序章 白い息とネオンの夜
序章 1話 白い息とネオンの夜 十二月中旬。 街はクリスマス一色に染まり、アーケードには星型のライトと雪の結晶の飾りが揺れていた。 頭上のスピーカーから流れる軽快なジングルベルのメロディが、行き交う人々の足取りを弾ませる。 イルミネーションの反射が、濡れた舗道を銀色に輝かせていた。 竹野内蓮は、手にした紙袋を少し持ち直しながら、隣を歩く笹峰優子の横顔を見た。 白い息が二人の間で重なり合い、冬の夜気に溶けていく。
鴉羽大地
鴉羽大地
昨年から少しずつ書き進めている小説のテーマは「武道」です。私がこれまでに学び、経験してきた少林寺拳法や武道の哲学を物語に込めています。主人公が己を磨きながら困難を乗り越える姿を描く中で、「力」と「正義」のバランスや、人とのつながりの大切さといった普遍的なテーマに挑んでいます。