お姫様と小鳥

お姫様と小鳥
高い塔の上。 太い格子の嵌った部屋がある。 飾り気はないが質の良い家具が置かれた部屋の扉は外から丈夫な錠前がかかり、螺旋階段を降りた塔の入口にも大層丈夫な錠前がかけられている。 入口の前に立つ兵士は常に二人。塔を訪れるのは、朝と夕方に食事を運んでくる侍女だけ。 高い塔の上。 太い格子の嵌った部屋で、お姫様が一人。 陶磁器のように白い肌。憂いを帯びた空色の瞳に影を作る烟るようなまつ毛。緩やかに背を流れるのは眩い金の髪。赤い唇からは哀しげな歌が紡がれる。 綺麗な綺麗なお姫様。 塔に囚われた可哀想で哀れなお姫様。
腹黒兎
腹黒兎
小説家になろう でも執筆中。 のんびりマイペースでやらせてもらいます。