箱を積む

箱を積む
 昔から、外側を取り繕うことだけは得意だった。  生まれつきの才能にタダ乗りして、与えられたものを受け入れるだけで自ら努力はせず、ただ、それでも進めてしまった。進んできてしまった。  どうすればいいのかも分からないというのに口だけは達者で、吐き出される言葉だけが大きくなった。  まだ、それを実現出来る程の能力がなければ戯言で済んだ。だと言うのに、案外近いところまで出来てしまった。可能性が見える程にはできてしまった。それが良くなかった。  気付けば周りからの評価は大きなものになっていた。誰も真偽を確かめられないような言葉を吐いているうちに、努力してここまで来たと思われていた。全くそんなことはないというのに。  虚構から生み出された期待が、評価が、いつしか虚栄心を丸々と太らせてしまった。いや、他者のせいでは無い。自分で餌を与えたのだ。裏切ってはいけない、失望されたくないという不安と見栄を。  もう随分空箱を積んでいた。自らの重ささえ支えきれないような脆弱な土台だった。だから、一番上の本来私がいるべき場所にはハリボテを飾った。きっとみんなが見ているだろう、私がそう見せていたい「私」を飾った。  いつまで持つだろうかと、ずっと考えていた。中学?高校入試?高校?どれも違った。際立って優れることはなかったが、それでも上の下ぐらいでウロウロしていた。堕ちぶれられなかった。  そうしてやってきた、失敗出来ない瞬間。見栄を張れる勉学を取ために、絶対に落とせないもの。未だに空箱ばかりを積み上げていた。誰も見ていないのに。今更中身のあるものを作ることが怖かった。きっとすぐにわかってしまう。今まではなんだったのかと言われてしまう。失望させてしまう。  嫌だった。その時の自分の心を守ることに必死だった。今を捨ててこれからを守る余裕がなかった。それがダメだった。
白椿
白椿
主に小説を書いてます。 気まぐれ投稿です。