欺瞞に満ちた十字路で金木犀は優雅に微笑む

 穏やかに会話を続けるなかで起こるさり気ない駆け引き。  十字路に差しかかると、突然、歩行を緩めたあなた。  緊張した面持ちで、何度も何度も金木犀の香りを食む。  空気を読んだ心拍が、痛いくらいに加速した。  頬と同じ色をしたあなたの乾いた唇を、陶然と見つめる。 ①謙虚  ✴︎ 吊り革を握る、その手の温もりをちょうだい ②陶酔  ✴︎ 首筋に金木犀を散らし、残り香にさよならを
木のうろ野すゞめ
木のうろ野すゞめ
雰囲気小説を書く人です。 毎週金〜日曜日の間になにかしら書きあげていきたいです。 現在は主に「書く」「書く習慣」にて生息しております。 2025/8/16〜 ※無断転載、AI学習禁止