迷彩色の酒

「いらっしゃっせー!」 店員の活気のある声に思わず腰を反らしそうになりながら、黒山はピースサインをして「二名で」と声にした。 お二人様ですねー! こちらにどうぞー。 案内された半個室の席に座りながら、軽く周りを見渡す。 馴染みの居酒屋は、19時前なのに、すでに客の喧騒に包まれている。 顔ぶれは大体、短髪のヤローども。 年齢のばらつきはあれど、ガタイのいいやつが多く、声もバカでかい。 どことなく店内がむさ苦しく感じる。 ひと目で同業者だと分かる。なんせ駐屯地の前にある居酒屋だから、5時ピン上がりの国家公務員たちが見渡す限り店内をしめていた。 国民の血税がこうやって経済をまわしてんだなぁ……。
はるきち
はるきち
2025.6.30 活動停止しました。 …が、出戻ってまいりました。 お久しぶりの方も、はじめましての方も、仲良くしてくださると嬉しいですm(_ _)m