見栄はりな僕とクールなあの子

 僕は物心ついたときから、学校が苦手だった。別に誰かからいじめられていたわけじゃない。でも、怖かった。バカで間抜けで、人一倍ヘタレな本性を知られてしまったら、なんて言われるか。笑われるか。それが怖くてどうしようもなかった。  だから、いつも明るいヤツでいた。ありったけの元気を絞り出してヤンチャしてみた。友達や先生に「僕はこういうヤツなんだぞ」って見せつけてみた。いじめっ子とか、ガキ大将とかいうのとは少し違う。バカな本性に半ば開き直って、みんなの前で戯(おど)けてみせた。    前の学校でもそうやって振る舞ってきたんだ。転校先でも、そうやっていけば上手くいくはず。  なんて、思っていたのに――。 「どうしよう……」  心の声が漏れる。必死に作り上げてきたものが、今この瞬間崩れ落ちようとしていた。
ろくを
ろくを
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