無力な神は神様なのか

無力な神は神様なのか
 “様”と言うのは、偉い立場のやつに使う物なんでしょ? なら、何で“神様”なんていうのかな。友達も皆んなそうだ。君付けで呼んでくれたり、呼び捨てだったりもあるけど、ぼくを“様”と呼んでくるやつもいる。まあ、友達に関しては偉いとか偉くないとか気にしないで何となくでそう呼んでいるんだろうけど。  でも、人間は必ず神を“様”と呼ぶ。 「神様お願いします」 「神様聞いてください」  神ってそんなに偉いものなのかな? 大昔からいるやつらは強いし偉いんだろうけど、だったらそいつらだけを“様”と呼べば良い。  人間だって、他の生き物から“人間様”なんて呼ばれないだろうし、動物のことを“動物様”なんて呼ばないだろう。  なのに、何故神は“神様”何だろう。  人間のお願いを叶えるから? それとも人間には出来ないことをするから?  もしそうだったとしたら、おかしいと思う。だって、神は人間のお願いを聞きはするけど必ずしも叶えるわけじゃない。手合わせて目瞑るだけのやつは何をお願いしているのかすら分からないし、口に出したところで叶えるか叶えないかは結局願われた神の気分次第なんだから。むしろ、神なんかよりも機械とか、そっちの方がよっぽど役に立つだろう。  それに、人間に出来ないことをするって言ったって、そんなの神じゃなくてもいくらでもいるだろう。例えば鳥は自分の力で空を飛ぶし、アメンボは水の上を歩ける。でも人間は“鳥様”なんて呼ばないし、“アメンボ様”とも呼ばない。
月影羽
月影羽
作家志望の学生 好きな作家は芥川龍之介、太宰治、フョードル・D、東真直、夜咄頼麦etc. アイコン→みわしいば様